ウンコを踏んで、学びました

小田原市片浦で2017年から耕作放棄地のリノベーションに取り組んでいる現場を訪ねました。南足柄の森谷工房の森谷さんが、“Re農地”講座のフィールドワークや座学の講師をされています。

同講座に参加している友人から、獣害対策の勉強になるかもしれないよというアドバイスを受けて、森谷さんに“Re農地”を案内してもらいました。

耕作放棄地と鳥獣被害

左:”Re農地”からの眺め
右上:”Re農地”で復活したみかん 右下:日本在来種のシロバナタンポポ

山の斜面に農地が作られているため、耕作が放棄される前までは石垣で綺麗な段々が作られ、みかんの木がたくさん植わっていたようです。
それが蔦や竹に侵食されて、何年もかけて整備してきた農地も、3年もすればただの藪になってしまうそうです。

ちょっと田舎の住みよい町でも山奥の村でも、耕作放棄地の増加や農業の担い手不足にここ数年ずいぶん頭を抱えているところです。
そして何より、耕作放棄地は野生動物の格好のエサ場となるため、そこを拠点に周囲の農地にも鳥獣被害を広げることになるのです。

「ちょうど今、踏んでいるのがイノシシのウンチ」

指摘されて足元を見てみると、けっこう大ぶりのウンコが自分の足に踏まれていました。(写真は撮ってありますが、自粛。)
これが、その日踏んだウンコ1号でした。何号まであったかわかりません。そこら中に落ちているので、知らぬ間に踏みつけていたはずです。しかも、借り物の長靴で……。

左:獣害対策用の金属の柵 右:みかんの木の下の茂みがイノシシの寝床になっているかも
右下:イノシシに食い散らかされたみかん

獣害対策用の柵(金属の物と漁網を用いた物)と、イノシシに掘り起こされた土、イノシシがお風呂に使っている水溜り、イノシシが住処にできそうなみかんの木の下の茂み、イノシシが食い散らかしたみかんを紹介してもらいながら、簡単なイノシシの生態を学びました。

“Re農地”をほんの少し歩いただけで、イノシシの話はもちろん、山と竹林の関係、土の質や堆肥の話等、農業に係るいろいろな話を伺うことができました。しかも、どれにも共通しているのは、科学的で理にかなっているということです。
いわゆる昔の人の知恵というのも、科学的に説明のつくものはたくさんあります。(天気についての言い伝えはよく知られるところですが。)
ただ盲目的に先人の知恵を伝承するだけでなく、科学的に再構築して実践することで、もしかしたら無理や無駄のない農業が営めるのではないかと思えました。 (もちろん、無駄というものは人が生きていく中で省きすぎてはいけないものですが、コスパ主義のこの世の中で若い就農人口を増やすためには、避けて通れないキーワードです。)

「枠組み」を取っ払え!

“Re農地”見学の後、弁護士の資格を持つソーシャルワーカーの安井飛鳥先生の講演を拝聴しましたが、分野は違えど共通点を感じました。
すなわち、「縦割り」とか「枠組み」というものをどれだけ取っ払って解決しようとしていけるかが肝だということです。

さらに、先日参加した研修会において、「ローマ教皇に米を食べさせた男」として有名な元スーパー公務員の高野誠鮮氏が話されていたことも思い出されました。
「社会も一人の人間だと考えればいい。左手が痛いからと言って、右手が左手を切り落とすことなんてしないだろう。右手が左手をぎゅっと押さえて、痛みを耐えるだろう」と。

これが、今突きつけられている課題を解決する肝であり、しかしながら、凝り固まった価値観では一番解決の難しい問題でもあるのです。