1月23日、教育委員会の定例会が開催されました。
教育委員会は非公開の会議でない限り、前日までに申し込めばどなたでも傍聴することができます。(今回は市民2名と議員3名が傍聴しました。)
議題は、今年度の補正予算と学校のあり方(=学校の統廃合)についてでした。
昨年実施された公共施設再編の説明会で説明があったとおり、それぞれの公共施設を担当する部課に具体的な議論が引き継がれたということです。
中高一貫教育校について
学校の統廃合といっても、施設の問題とカリキュラムの問題(小中一貫教育校にするか否か)があります。
ただ、公共施設再編の説明会において「ハコよりまず中身を」という市民の意見を反映してか、今回は県西教育事務所の職員を招き、神奈川県教育委員会の資料↓を基に説明を受けていました。
資料や説明によれば、小中一貫教育校のメリットとして、
・中1ギャップが緩和される
・専門性を持った中学校教諭が小学生を教えることで、学力や学習意欲が向上する
・9年間という長いスパンで地域でじっくり子どもを育てられる
等が、 小中一貫教育校のデメリットとして、
・施設分離型(小学校と中学校を1つの施設に入れない)の場合、小学生と中学生の交流が難しい
・教職員が小中一貫のシステムに対応しきれない
・小学校教諭の免許を持っている中学校教諭がほとんどいない
等が挙げられていました。
神奈川県では小中一貫教育のモデル校として、海老名と秦野と箱根でそれぞれ1校が指定されていますが、各学校の具体的な実績を示すものはありませんでした。
以下は小中一貫教育校に関する本や論文をいくつか読んでみた私の個人的な意見です。
小中一貫の一番の売り文句は「中1ギャップの緩和」とされています。そもそも「中1ギャップ」とは何ぞや?ということになろうかと思いますが、これは勉強の難しさはもちろん、クラス担任制から教科担任制へのシステム変更や部活動における先輩・後輩といった上下関係に馴染めず、不登校になってしまうことを言います。
つまり、環境の変化に順応できないということです。
もちろん、こうした状況に陥りそうな子どもについては適切なフォローをしてやらなくてはなりません。
しかしながら、そのギャップを乗り越えられる子どもたちにも、平等に壁をぶち壊してやる必要はあるのでしょうか。
平坦な道を歩んできた子どもたちに、次の環境変化(「高1クライシス」と言うそうです)に対応する力は養われるのでしょうか。
子どもたちが社会の波にもまれても、自分の命や権利を守れる強さを身につけさせてやることが、教育の使命だと考えます。
そのためには、小さな壁や失敗を少しずつ乗り越えていく練習が必要なのです。
ということで、他にも理由はいくつかありますが、私は小中一貫教育校についてはまだまだ懐疑心を持っており、慎重派の立場であるわけです。
学校再編、今後のスケジュール
さて、話を教育委員会に戻します。
学校再編に係る今後の教育委員会のスケジュールが示されたので、それをざっくりお伝えすると……
3~4月「学校のあり方」の素案について議論→教職員へ案を提示し、意見聴取
5~6月 PTA向け説明会の実施
7月 「学校のあり方」の修正案について議論→議会の常任委員会に報告
※上記の間に2度の総合教育会議(市長と教育委員会が教育施策について話し合う会議)が開催予定。
教育委員会は月1の定例会と必要に応じて臨時会を開くことになっています。
さすがに定例会だけでは未成熟な議論で終わってしまうと危機感を持った委員が、臨時会を開催することを提案されました。
また、委員会の開催回数だけでなく、複数バージョンでのシミュレーションすることも提示されました。
・小中学校については、1つの小中一貫教育校と一貫でない1中学1小学校という当初の「たたき台」以外に、一貫でない2中学4小学校にした場合
・幼稚園・保育園については、1つの認定こども園という当初の「たたき台」以外に、幼稚園2園にした場合
あらゆる場合を想定したシミュレーションは必要ですが、上記の形だと、結局「ハコ>中身」の議論に戻ってしまうので心配です。
そもそも、本気で理想の教育論を戦わせるには、一晩徹夜で膝を突き合わせても足りないものです。
ただ、教育委員の皆さんも活発に意見を出し合い、自分事として捉えてくださっていることは伝わってきました。
今後の展開も注視していこうと思います。
ちなみに、今回の教育委員会を傍聴された市民のお一人も、ご自身のFacebookで超聡明なる分析をされています。
リンクの貼付け許可が下りたので、ご覧ください↓
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