台風19号と災害対策における課題

全国で死者78名、そして未だ安否不明の方が9名(10月17日16時現在)という、大きな爪痕を残した台風19号。
被災された方々に、衷心よりお見舞い申し上げるとともに、被災地における安全と安心が一日でも早く取り戻されるよう、お祈り申し上げます。

降水量1000mmを超え、現在も復旧作業に追われている箱根町。その北東に位置する南足柄市は、1948年(昭和23年)のアイオン台風以来、目立った風水害を受けることはなかったようです。
しかしながら、今回の台風19号においては、人命にかかわる被害は出なかったものの、「災害が少ない地域」として平和ボケしてしまった私たちに大きな危機感を残しました。

南足柄市の被害状況(10月17日現在の速報)

さて、今回の台風による南足柄市での被害について、10月17日時点で確認されている主な被害は下記の通りです。なお、確定値はまだ出ていないので、分かり次第記事に追加いたします。

①土砂崩れ及び地滑り
・県道78号御殿場大井線 関場橋~足柄古道入り口で土砂崩れ→地蔵堂地区の孤立
・地蔵堂地区で土砂崩れ、地滑り
・矢倉沢浄水場の先で土砂崩れ→取水口閉鎖による断水

②河川の氾濫とそれに伴う浸水
・太刀洗川の氾濫と周辺水路の内水氾濫(雨量が下水道、側溝、排水路の雨水処理容量を上回り、土地・建物や道路、地下道などが水浸しになる現象)→床下浸水、床上浸水

太刀洗川(栄橋)

③ライフラインの停止
・停電…雨坪・内山・苅野・弘西寺・怒田・広町・福泉・矢倉沢
・断水

④その他
・狩川及び内川の護岸侵食
・公共施設への被害
・復旧作業員の二次災害 等

狩川(広町パークゴルフ場のやや上流)

風水害等自然災害に対する今後の課題

①指定避難所のキャパシティの問題
今回の台風では市内の全地域に避難勧告が、福沢地区を除く全地区に避難指示が発令されました。指定避難所への避難者総数は1,861名。
風水害の10か所の指定避難所は10月12日の午前8時~8時45分の間にすべて開設されましたが、岡本コミュニティセンターと向田小学校が収容能力を超えてしまったため、岡本福祉館と足柄台中学校にそれぞれ移ってもらったそうです。
公共施設の統廃合が検討されている中、(もちろん台風の前から懸念されていたことですが、)公共施設の防災拠点としての機能をどのように割り振っていくのか、慎重に考えなければなりません。

②高齢者および障がい者の避難の問題
風水害での指定避難場所への避難時には、激しい風雨を伴うことがほとんどです。加えて、塚原の岡本コミュニティセンターや福沢の足柄高校への道程はかなりの急勾配。足腰の弱いお年寄りや車いすを使用している人は、自家用車がないと移動は困難です。また、視力の弱い方も、ただでさえ視界が不明瞭で障害物が多いので、安全に避難所にたどり着けるか不安です。
自治会加入世帯の減少がずっと課題となっていますが、非常時にこそコミュニティの結束が重要になります。現代社会の風潮がこれを機に変わっていくことを願うだけでなく、変わらないことを前提にした対策が必要です。

③ペット同行避難の問題
埼玉県西部で浸水被害にあった中学生が避難しなかった理由について、「猫を飼っているので」と話していたことが話題になりました。
ペットの同行避難については以前当ブログでも言及しました。↓

猫どもと生き抜けるか?

が、市のホームページでは同行避難について未だ情報提供されていません。
多くの自治体では、人とペットが同じ空間に避難できる同伴避難ではなく、人の居住スペースと避難動物の居住スペースを分けなければならない同行避難を認めています。しかし、台風の場合は屋外や半屋外を活用できないので、避難所の中に相応のスペースの確保が必要になってきます。
ペットも家族の一員です。私も飼い主の一人として、家族の全てが安心して暮らせるまちにしていきたいと思います。

④市および市民の防災意識に関する問題
今回、市民の多くが体験した「断水」。「全国水の郷百選・全国水源の森百選」に選ばれている南足柄でなので、まさか水に困る状況に陥るとは思ってもみなかったのでしょう。ゆえに、水を常備していなかったり、給水のための容れ物がなかったりという混乱が発生しました。
かく言う私も、給水用のポリ容器は持っていたものの、その脇にあった非常食をチェックしたら、いくつか賞味期限切れを見つけてしまいました。 東日本大震災からたった8年でこれほどまで意識が低下するのかと、情けなくなりました。
そして、水の容れ物があったとしても、車のない方やお年寄りや筋力のない方がそれを自宅まで運んでいくのは困難だということも問題でした。
それぞれの状況に応じて、市または個人がやるべきこと・できることをそれぞれ把握し、実行しなければなりません。防災計画を見直すことはもちろん、それらがいざというときに本当に機能するかの動作確認(=本気の避難訓練)をしなくてはなりません。

市議会議員は何ができるか

今回の台風において、「市議会議員なんだから、どうにかしてくれ」という趣旨のコメントをいただきましたが、非常に申し訳ないことに、議員が災害対策本部に直接連絡をし、市民の要望を伝えるということは原則NGとされています。
理由としては、①横槍を入れることで対策本部の足手まといになり、逆に支援が遅れてしまう可能性が出ること、②市議会議員とつながっている人だけが優先され、市民が支援を平等に受けられない虞が出ること等が挙げられます。

災害時に議員ができることは、伺った市民の意見を議長に報告すること。そして議長が、それらを集約して災害対策本部に伝えることになっています。よって、災害対策本部側からの被害情報も、正副議長への報告の後に各議員に提供されます。(台風19号の被害の速報についても、10月18日にようやく資料が回ってきました。)

現在ワールドカップが開催されているラグビーでは、15人の選手が各ポジションの役割を果たすことによってチームが勝利できると言います。南足柄でも災害に打ち勝つことのできる強靭なチームワークを発揮するために、議員は議決機関としての議会というポジションを果たす――今回の反省から防災力強化を実現する仕組みづくりを徹底的に議論していきます。

2 件のコメント

  • 岡本コミュニティーセンターは入れず、夜通し水が来ないか不安を抱えて平屋の自宅で過ごしました(通り一本先では浸水)。更に避難勧告から避難指示になり、避難したくても避難できる場所がなくとても困りました。避難所の質の向上も課題ですが、入れないということは行政から見捨てられた事になります。公共施設再編計画の出前講座、パブリックコメントでも指摘しましたが、防災面の強化をして下さい。今回の台風は今後当たり前に来ます。

    • 川口さん、情報ありがとうございます。
      市もちょうど防災計画の見直しを図ろうとしていたところだったので、今回の台風を受けてより現実的なものが出来上がるかチェックしていきます。

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