差別化を図れ!

「差別」と言ったらドキッとしてしまう人がいるかもしれませんが、他社ではなく自社のサービスを選んでもうらうための、マーケティングにおいて欠かせない「差別化」のお話です。

さて、第2回定例会も閉会し、議員は研究、研修や視察の時期に入っています。
私も7月17日から19日までの3日間、7人の新人&先輩議員と一緒に静岡で法務研修(地方自治体にかかわる法令に関する講義)を受けてきました。
それからさかのぼること1週間、市役所職員対象の「先進事例研修」に議員も多数参加させてもらいました。

「差別化」というのは、そこで改めて考えさせれられたことを一言で表した、これからのまちづくりのキーワードです。

体の半分は商人で、半分は役人でできている。

「先進事例研修」で講師を務めてくださったのは、一度は寂れた温泉街に成り下がってしまった熱海市において、観光客の誘致を見事V字回復させた市職員のうち2名でした。
そのうち1人は、テレ朝の「激レアさんを連れてきた。」にも出演された(←深夜帯のときは私もよく見ていました)、まさに熱海再興の立役者である山田久貴さんです。

山田さんはもともと民間の企業に勤務しており、その後熱海市役所に転職したそうです。確かに、大阪の商人を思わせるような喋り方は、ただの市役所職員でないことを簡単に推測させました。

さて、その山田さんが立ち上げたのが「ADさん、いらっしゃい!」事業で、簡単に言えばバラエティ番組の招致事業です。
その中で驚愕だった事業方針は、当初売り文句として掲げていた「365日、24時間対応」 でした。お客様(テレビ番組の制作担当者)からの電話にはいつでも出ます、昼夜を問わずロケにも同行します、とにかくお客様のご要望には何でも応えます、ということです。

現代社会の風潮である「働き方改革」と逆行していることが明白ですが、山田さん曰く、子どもが大きくなって手を離れたから、そして上司からの命令ではなく、自分自身で企画・運営していたから可能だったとのことです。
ただし、現在推進されている「働き方改革」と逆行することから、今は「365日、24時間対応」がホームページの字面上はなくなっていました。
また、山田さん以外にも担当職員を1名増やし、2人体制で回しているそうです。

http://www.city.atami.lg.jp/locashien/1001916.html

「今あるもの」を活用して、本気の官民連携を。

山田さんがこの事業を成功させた背景には、熱海市が古くからの温泉街であることに加え、バブル期に繁栄した歓楽街をも併せ持つモザイク地帯であることが大きいようです。
「ADさん、いらっしゃい!」が事業としてスタートする前に、熱海市を取材したメディアの方に「熱海って何でもあるね」と言われて気づかされたそうです。
その地で生まれ育ち、あるのが当たり前だと思っている地元っ子には気づけない視点を、外から来た人が指摘してくれたからこそわけです。

最後に、南足柄の町おこしにも言及してくださいました。

まず、観光で人を呼び込むためには、いつまでも金太郎にこだわっていてはダメだと。
確かに、金太郎を昔話で知っている人は少なくなっています。(奇しくも某携帯電話会社がシリーズCMで取り上げくれているので、「金ちゃん」は全国的に普及していますが…。)よって、熱烈な金太郎ファン(←これこそ「激レア」ですが)以外は、金太郎のふる里だからとわざわざ南足柄に足を運ばないでしょう。

それならば、全国的に認知されていて「今ある」アサヒビール工場とタイアップしてビールフェスを開催した方がどれだけ人が集まるだろうか、と。
顧客ニーズを分析して、「こだわり」を捨てた観光案内やイベント設営をしていく、私企業的な視点です。

また、定住化を促進するにあたっては、どうしても交通の便がネックになってしまう南足柄市。それならば、交通の便を我慢してでも働く世代≒子育て世代に住んでもらえるように、例えば子育て世代にとって一定期間課題になってくる教育に特化すべきだと。

その一策として、民間の学習塾と提携して小中学生の学習塾無料を打ち出す(←また教育長に怒られそうですが)のはどうか、ということです。
官民の本気の連携と、政策の選択と集中です。

いつまでも従来の「公」にこだわっていてはいけない。

そんなことばかり言っていると、必ず言われるのが「地方自治体と私企業は違う」という意見です。

もちろん、すべての分野において利益追求を第一義とする私企業と同じように振る舞ってしまうと、地方自治体が地方「公共」団体である意味が崩壊して、住民が平等に公共サービスを受けることができなくなること間違いありません。

しかしながら、「消滅可能性都市」が発表されて以来周知のとおり、この少子高齢社会においては都心を除くすべての地方自治体が人口を保つために他の自治体と競って人口を奪い合っています。つまり、日本の自治体はそれぞれレッドオーシャン(競争の激しい市場)にいるわけです。

南足柄市も時代の流れを分析し、今あるものを活用して市民や民間企業の力を借りて差別化を図らなくては、市場競争に負けてしまいます。
そのために、市が、市の職員が恥じることなく「公」であることへのこだわりを捨て、本気で官民協働を実現するべきではないでしょうか。